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脱W連続学習会第1回「食料主権と自由貿易」 

WTOは農民を殺す脱WTO草の根キャンペーン連続学習会「WTO・FTAを超えて」が、17日に総評会館で開かれました。初回は、農業記者の大野和興さんが「食料主権と自由貿易」というテーマで報告されました。



【WTO/FTA交渉の現在】
 まず最初に主催者側が、この連続学習会の位置づけについて話をしました。7月に凍結状態になったWTOドーハラウンドの交渉再開は、早くても11月のアメリカの中間選挙後、遅ければ09年になるそうです。凍結の原因となったのは、世界の民衆運動の異議申し立ての声であると同時に、農業問題に集約的に表現される、自由貿易体制の根本的な矛盾にあるといえます。WTOは病院の集中治療室入りで、墓場入り間近であるものの、自由貿易自体は形を変えて進んでいます。ドーハラウンド凍結後、2ヶ月もたたないうちに、日本政府はフィリピンとチリとの間にEPAを結びました。今後はアジア諸国を中心にして、二国間、地域間の自由貿易協定が進むことが懸念されます。脱Wは過去の学習会で、WTO/FTAの問題点を考えてきました。これを踏まえて、今度は自由貿易のオルタナティブを探る作業を進めていくのが、この連続学習会のねらいです。主催者側は、このように説明をしました。
【食料主権とは?】
 続けて大野さんの「食料主権(food sovereignity)」に関する報告が始まりました。食料主権は、10年ほど前から世界食料サミットなどで使われるようになった言葉です。多義的に使われる言葉ではあるものの、集約点をまとめれば、すべての人びとと国家が、自己の生存のための食料を自給する権利である、と言うことができます。そして、この権利を実現するために、農産物の価格補償、国内品の保護、生産調整、環境・資源の面で持続的な農漁業の支援を政府に要求します。

 食料主権という言葉が登場した背景には、地球上で8億を超える飢餓人口、伝統的な小農業の解体、農民の土地からの引き剥がし、WTO設立に象徴される自由貿易体制の確立がありました。大野さんは、タイやフィリピンや日本での例を出しながら、農民の被害を具体的に話してくれました。日本では、小農民が農業では生計を立てられなくなり、土地を売りに出し、その土地を企業が購入して、農業経営に進出する、それでも何とか農業を続けようとする農民は、経営の大規模化のために機械を購入するが、借金まみれになってしまう。アジアでは、企業が土地を購入すると同時に水路を独占し、使用料を支払えない農民には、水を使用させないという事態が生じている。以上のような農民の現状を話してくれました。

 こうした状況の中で、食料主権という概念から派生的に、土地や種子や水へのアクセス、特許の禁止、先住民や農村共同体の保護、消費者の食の安全、女性農業者などの諸権利が出てきて、今では食料主権という概念は、平和的生存権としての意味を帯びるようになっている、と指摘され、大野さんは報告を終えました。

【食料主権をどう見るか】
 討論では、数多くのやり取りがあったので、以下で簡単にまとめます。まず、食料主権をどう評価するかが議論されました。食料主権を提唱する農民団体が挙げている、政府による農産物の価格補償、国内品の保護、生産調整は、(近年は転換の兆しが見られるものの)日本の戦後農政の根幹でした。これが本当に農民の利益だったのかを疑問視する声があがりました。農民は現金収入が増えたものの、自家用農産品を栽培しなくなり、農薬や機械などの支出も増大したことで、生活難と国への従属を経験しただけだったのではないか、との声が会場からあがりました。

 この批判は、食料主権が誰の権利なのかという問題にもつながってきます。それは国家の権利なのか、民衆の権利なのか。そして、民衆の権利だとすれば、それを実現するための条件整備を、どのような論理で国家に求めていくのか。「どのような」食料主権をめざすのかという論争的な問題を考えるうえで、日本の戦後農政とそこでの農民の経験をどう評価するかは、大切な作業であるとの議論がなされました。

【日本の人びとにとっての食料主権】
 以上の議論から連続して、日本の人びとは食料主権をどう考えるべきかという問題が話されました。国内を見れば、農民は勤労者や消費者などとつながることができず、少数者になっています。こうした状況の中で、食料主権が支持を得るには、農民以外のセクターに食料主権を求める運動をブリッジしていく必要がある。環境など「農」に固有な価値を示していくのは、突破口のひとつではないかという発言がありました。

 また、外国との関係に目を向ければ、現在、途上国農業は、先進国に対して、主要作物と市場という二重の従属を強いられています。途上国が作るのは主要作物以外の輸出作物なので、生活の糧を先進国農業に依存しなくてはなりません。しかも途上国の輸出作物にとっての最大のマーケットは先進国のため、ここでも途上国は従属を強いられています。こうした二重の従属構造、北と南の問題に目を向けることは、日本の食料主権を求める運動にとって不可欠な課題であるとの話がなされました。以上のように論点が多岐にわたったので、今後の学習会でさらに論点を深めていくことが確認され、最初の学習会は終わりました。

次回は、11月21日(火)の18時半から、小川町シネクラブの新田進さんが「中南米からの対案――もうひとつの貿易ルールの可能性をさぐる―」というテーマで報告してくださる予定です。


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