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WTO会議の合意に奔走した多国籍企業のロビイスト--ルラ・ブラジル大統領 

ATTAC Japanの秋本です。第6回WTO閣僚会議は、「前進が見られた」という報道もありますが、日経新聞が「香港会議の成果は極めて乏しい」(12/19付)と評価するように、WTOそのもの、すなわちWTOで決めようとする貿易自由化ルールそのものが破綻に向かう道筋を作ったといえると思います。

 途上国は、とりあえずは無税無枠(途上国から先進国への輸出に際して非関税、市場アクセス制限を設けないこと)を取り付け、米国とEUから2013年までに農産品輸出補助金の撤廃という約束を取り付けたものの、それがドーハラウンドの主要課題である途上国の発展を目的とする「開発」に値し、「途上国支援」に相当するものであるのかどうかは、誰も断言できませんでした。またNAMA(非農産品)交渉では、関税の引下げ方式として、高い関税ほど引下げ率が高くなる「スイス・フォーミュラ」を採用することを決めました。しかし、採用にあたって詳細は全く何も合意されておらず、今後の交渉課題とされました。

 香港会議では、WTOの貿易交渉で利益を得るものはないとしている途上国を交渉の場に引き出すために、日本をはじめとして、途上国への支援パッケージの発表など、様々な工作が行われました。しかし、NGOがその欺瞞性を暴露したことで、諸手を挙げて途上国がこれに飛びつくことはありませんでした。

 フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスのウォルデン・ベローによれば、香港会議は、「ブラジルとインドが大国チームに加わったことを意味するもの」であり、「ブラジルとインドは陰の実力者(power broker)になった」と論じています。これは、前回のカンクン閣僚会議で、ブラジルやインドがG20を結成したことで、WTO交渉を頓挫させ、米国やEUが主導する従来のWTOの力学を変質させたことに端を発していますが、今回の香港会議では、インドとブラジルの果たした役割は重大であり、もはや両国は、2006年末に予定されている一括包括合意ができるかどうかを決める存在になりました。

 両国は、危機にあるWTO交渉の再生をはかるために、農業交渉において米国とEUから譲歩をとりつけ、輸出補助金の撤廃期限まで認めさせ、それを持って、「途上国の利益を守る」として途上国から合意を引き出すという戦術をとりました。またブラジルはNAMA交渉においてスイス・フォーミュラを主張し、またサービスGATS交渉では、従来のリクエスト-オファー方式(二国間交渉)ではなく、複数アプローチ(多国間交渉)を主張し、インドもその提案に従い、その提案が宣言に盛り込まれることになりました。

 ブラジルのルラ大統領は労働者や貧しい人々の味方として登場したはずでしたが、今や新自由主義政策を推し進め、IMFやWB政策を支持し、多国籍企業のロビイストとなり、ブッシュ大統領とも共闘できる存在になりました。

 米国のパブリック・シチズンの情報(情報源はブラジル外務省の発表)によれば、ブッシュ大統領とルラ大統領は30分間、電話で討論し、ブッシュは交渉の行き詰まりの打開をはかったブラジル大統領の提案を讃え、一方で、ルラは、WTO貿易交渉のさらなる前進をはかるために、G7諸国および新興国首脳たちのサミットの開催(1月)を提案した、とされています。

 13~18日の香港会議では、ピープルズ・アクション・ウィークとしてコンベンションセンターの中と外で様々なNGOの活動がありました。WTOの貿易自由化に反対する世界のNGOは、特に情報収集の乏しい途上国政府の交渉担当者に情報を提供し、彼らを励まし、no deal is better than a bad deal(不利な取り決めをするくらいなら、何も決めるな)と提案しました。これは相当な効果がありました。私たち日本のNGOが、日本政府の「途上国支援パッケージ」に対して発表した緊急声明も、大きな話題を呼びました。

 また外で行われた韓国の農民などのデモは、途上国政府の交渉担当者や香港の一般の人々に「なぜ韓国の農民がそこまで反対しているのか」と考えさせるきっかけを作りました。18日未明に起きた、路上に座り込んでいた約1,000人への身柄拘束は、WTO反対の声を封じ込めようとしたが、それができなかった香港政府のあせりでしかありません。

今後、2006年4月末に再度WTO閣僚会議を開催し、香港会議宣言の具体化が検討されようとしています。しかしながら、もはやWTOは破綻に向けて、終焉の局面に入っていると言えると思います。

「WTOでは公正な貿易ルールは作り得ない」-そのことをしっかりと確認して、自信を持ってWTO反対を主張していきたいと思います。
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