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バリ会議特集(その7):世銀の森林対策は、なぜ懸念を生み出しているのか 

ecological justice バリ会議で議論になったのは、世界銀行による「森林炭素パートナーシップ基金(Forest Carbon Partnership Facility、以下FCPF)」の提案でした(これに関しては、ウォールデン・ベローの報告も参照)。この提案に対して、数多くの疑念の声が寄せられました(たとえば、FoEインターナショナルの声明)。この疑念の原因は、過去の世銀の森林政策が、様々な人権侵害、強制退去を引き起こしたという点に求められます。以下は、環境運動グループがバリ会議期間中に出した「オルター・エコ(ALTER-ECO)」という新聞のFCPFに関わる二つの記事の翻訳です。これらの記事には、なぜ市民社会グループが、FCPFに懸念を表明しているのかが書かれています。

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『オルター・エコ―オフセットを削除する(ALTER-ECO Offsetting Omissions)』第3号

【新しい世界銀行の基金によって、REDDへの警戒を引き起こしている】

世界銀行は、自らを地球の気候に関する議論の中心に位置づけようと、国連気候交渉の閉幕前に先手を打って、12月11日火曜日に、新しい「森林炭素パートナーシップ基金(Forest Carbon Partnership Facility、以下FCPF)」に乗り出した。

世銀の計画は、今後の「森林の減少や劣化に伴う温室効果ガスの排出削減(Reduced Emissions from Deforestation and Degradation、以下REDD)」によって生まれたクレジットを取引するフレームワークを定めている。会合の終わる今、その基金に乗り出す前に、世銀は、REDDが2012年後の炭素貿易枠組みの中に含まれても、含まれなくても良いように、リスクを分散させている。もしREDDが含まれれば、世銀は「森林伐採の回避」のために、即席の市場を使って、金融業の仲立ちをすることになろう。しかし、交渉が今はREDDを外すという結論に終わった場合でも、森林炭素金融プランが国連の承認、認証システムに依存しなくてもすむように、世銀はそのプランを注意深く設計している。

世銀は、炭素金融への「部門別」アプローチを開発することで、リスク分散をおこなうことができる。これは、世銀が、各プロジェクトごとに森林排出削減に取り組むのではなく、FCPFを使って各国政府による国境内の森林伐採を減らす計画の作成を支援することを意味している。
それによって引き起こされる結果は、依然としてはっきりしないままである。しかし市民社会グループは、社会・環境保護措置が不十分であるとして、先んじて憂慮を表明した。そして、森林に依存している現地のコミュニティが、どれだけデザイン、実行、監視に関与するかについても明確ではない、と懸念を示した。さらに、世銀が産業伐採会社による炭素貿易への参加の排除を明記していない点に関しても、批判がある。

FCPFは、プロトタイプ炭素基金(Prototype Carbon Fund、以下PCF)とともに1999年に開始された、世銀の20億ドルの炭素金融ポートフォリオに付け加えられるものである。PCFは、当初、短期的な触媒と考えられていた。その目的は、国際炭素市場に民間金融を起こし、排出削減プロジェクトによって持続可能な開発とクリーン・エネルギーへの道に目途をつけることにあった。8年後、世銀のポートフォリオは、10以上の炭素基金を持ち、排出削減プロジェクトに10億ドルを超えるオフセット資金をばら撒くまでに成長した。

しかしクリーン・エネルギーと持続可能な開発の議論がなされているが、世銀は木を見て森を見ていないように思われる。世銀の炭素資金の供給は、現実に貧困を緩和することにはなっていない。事実、開発プロジェクトと結びつけられているのは、炭素オフセットのプロジェクトの四分の一以下であるし、プロジェクトが持続可能な開発の利益になるよう命じているのは、基金のわずか6%に過ぎない。

とりわけ、世銀の炭素資金の供給は、貧困者のクリーン・エネルギーへのアクセスに焦点を当てていない。世銀の炭素関連プロジェクトの約20%が、「クリーン」と見なされる一方、再生可能なエネルギー・プロジェクトに向けられているのは、10億ドル中のわずか2%に過ぎない。皮肉にも、その基金の80%が、石油、ガス、セメント、鉄、鉄鋼生産、工業ガス部門で、重度に汚染を排出している民間産業に向かっている。こうしたプロジェクトの下に暮らす、たとえば、南アフリカ、インド、ブラジルのコミュニティは、環境と健康への影響によって壊滅的な打撃を受けている。

森林排出オフセットプロジェクトは、世銀の炭素ポートフォリオのとりわけ被害を引き起こしている一部である。ブラジルのPlantar S/Aプロジェクトのような、PCFの森林プロジェクトは、コミュニティ全体の立ち退きとユーカリ栽培のためのアマゾン森林破壊を引き起こした。ユーカリは、石油の代替物として使用され、それから木炭に転用される。こうして世銀を橋渡し役にしたカーボン・クレジットのためのプロジェクトに承認が与えられているのである。

Plantarのようなプロジェクトによって引き起こされた人権と土地の権利への憂慮を解決しないままに、世銀はバリでの国連プロセスを通じて、新しいFCPFを推進している。


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【森林保護を約束する一方で、世界中にチェーンソーを持っていく】

12月8日、国際林業研究センター(the Center for International Forestry Research)の森林デーの一部としてバリで開かれた「市場とガヴァナンス」の関連イベントで、世界銀行のべノア・ボスケ(Benoit Bosquet)が参加者に保証したことに、「私たちは学んでいる」。

この保証は、「森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)」をめぐる先住民との協議の失敗によって生まれた様々な問題への世銀の対応である。そして、ここでこれまでの炭素基金にさらなる追加募集をするという最新の決定がなされた。先住民との協議の拡大に乗り出すことを約束したにもかかわらず、世銀は、12月11日にバリでFCPFに乗り出すことを決めた。

しかし森林をめぐる世銀のひどい経歴は、有意味な協議ができないという点にとどまらない。
世銀の森林政策は、長く、森林の住民、先住民、生物多様性に被害をもたらしてきた。森林を所有する国民にほとんど利益がなく、汚職が広がった。1992年、世銀は森林伐採作業への融資の禁止を決める森林政策によって、こうした懸念に対する取り組みを見せたが、これは2002年に取り消された。この復古的なステップは、新たな論争を引き起こした。

たとえば、カンボジアで、世銀自らの審査パネルは、世銀が国内の保護措置を破り、自らの政策に違反し、地域コミュニティを無視し、貧困減少に失敗していると主張した。そのパネルは、より工業優先で利権に基づく伐採が、森林に依存するグループの生活に及ぼす負の影響に関する証拠を、世銀が無視していると報告した。

世銀の森林部門における同様の失敗は、ペルーからコンゴ盆地に至るまで、文書で示されている。その文書によれば、世銀の支援した工業的伐採が、深刻な負の社会的、環境的影響を及ぼしていると言う。最近の世銀の審査パネルの報告では、コンゴ盆地で世銀の支援している伐採が、今、貧困をなくしているのではなく、悪化させている可能性があると言っている。

これらの例は、憂慮すべきパターンを示している。公開質問状で、60以上のNGOは、FCPFの可能性に留保を示し、以前の世銀が森林伐採の加速ではなく減速に失敗している点に言及した。先住民との協議が失敗し、土壇場での世銀との協議でもNGOから多くの重大な留保を受けたにもかかわらず、12月11日にバリでFCPFに乗り出すと主張したことは、世銀が「おこないに学ぶ」ことなく、「学ぶことなくおこなう」というその古くからのパターンを選んでいることを示している。

原文はこちら

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