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バリ会議特集(その5):森林は、売り物ではない! 

climate justice まだまだ続く、バリ気候変動会議特集の第5弾です。今回はウォールデン・ベローのバリ会議の報告を翻訳しました。世界の環境運動の努力で、今では気候変動は、国際政治の舞台で誰も無視できないグローバルな課題となりました。しかし、この気候変動の問題が、排出権取引のような形で商談の対象にされようとしています(韓国の社会進歩連帯による同様の評価に関しては、こちらを参照のこと)。COP13では、大企業が気候変動ビジネスの推進に向けて積極的なロビーイングをおこないました。しかも見逃せないのは、世界銀行がこの商談の推進に一役買っているという点です(世銀の森林炭素パートナーシップ基金への批判に関しては、ここを参照)。気候変動問題で追及すべきは、取引ではなく公正(climate justice)であるということを、もう一度確認しなくてはならないでしょう→特集は来年も続く。

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バリ気候劇の役者と演技(ウォールデン・ベロー)

 バリ気候変動会議が終幕しようとする48時間前に、国連気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)が骨抜きにされた「バリ・ロードマップ」を出すという予想が広まっている。それは、温室ガス排出の減少を目的としたポスト京都の多国間プロセスに再び合衆国を誘うため、各国がおこなった後ろ向きの努力をよく示している。

 その予想されている宣言は、2008年、ポーランドでのCOP14で交渉枠組みの詳細を作成し、2009年、デンマークでのCOP15で最終的な合意に至ることを、各国が同意するという内容になると考えられる。また、国連気候変動枠組条約会議(UNFCCC)の事務局長を務めるイボ・デ・ボア(Yvo de Boer)は、「目標ではない」とすぐさま否定したが、2020年までに1990年水準の温室ガス排出の25~40%を削減することへの言及も含まれると思われる。


オーストラリアの会合への再加入
 約10日間続いた会合の「閣僚級会合(high-level segment)」の始まりは、オーストラリアの首相になって10日のケビン・ラッドの劇的な登場によって注目されることとなった。ラッドは、オーストラリアの京都議定書への批准を、国連事務総長のバン・キムン(Ban Ki-Moon)に個人的に伝えた。以前のジョン・ハワード政府の下で、オーストラリアは、合衆国と連携して、京都議定書への批准をしなかった。前任者の罪を埋め合わせるかのように、ラッドは、強制力のある排出目標を有する、新しい多国間協定への支持を表明し、オーストラリアが2050年までに1990年水準の温室ガス(GHG)を60%削減することを約束した。「計画Bは存在しない」。かれは参加者にこう話した。「別の星に逃げることはできないのである」。

 しかしながら、気候活動家の中には、ラッドによっても懸念を払拭されない者もいる。バリ会議のオーストラリア交渉者が、ハワード政権の進行妨害的なパラダイムに囚われていると言われる中で、かれらは、ラッドの言葉が、この交渉者の行動に反映されなくてはならない、と不平をもらしている。

進行妨害協会
 演説者は、次から次へと拘束力のある目標を求めたが、それは、背景となる現実と対照的であった。 合衆国は、積極的な態度を見せないままであり、ジョージ・W・ブッシュのイデオロギー的に近い同盟者としてオーストラリアに取って代わったカナダは、交渉を妨害し、日本は、国内産業の協力の圧力によって、強制的な排出削減からこっそり引き返した。他方で、中国とG77は、もし先進国が大きな温室ガス削減を宣言し、途上国の低炭素経済への移行を実現するため、開発と技術移転を支援するつもりならば、京都議定書の長年の遵守者たちに対して、進んで自らの責任を果たす態度を見せた。

北-南
 南北の緊張は、高まっている。12月11日火曜、会合は三つの問題で決裂した。その中の一つは、南の国による地球温暖化への取り組みを支援する上で鍵となる技術移転の問題である。パキスタンの大使で、G77と中国ブロックの議長であるムニール・アクラム(Munir Akram)によれば、技術移転についての会合は、途上国が望む「促進(facilitate)」か、北の国が好んで使う言葉である「プログラム」か、いずれの言葉を用いるかをめぐって決裂した。自分の名前を特定できないようにしてほしいと望んだ、ある途上国の環境省の次官クラスによれば、「合衆国は、この会合にとんでもない時代錯誤の人物を送った。そのために技術移転の問題の80%が行き詰まった」。ワシントンは、バリでは嫌われ者である。ブッシュ政府の非協力的態度をずっと謝罪している、合衆国の気候変動活動家くらい不満の溜まっている人たちがほかにいるであろうか。

 G77内の意見の相違は、見えにくいけれども、ないわけではない。たとえば、マレーシアは、交渉開始時に、同国代表が「柔軟」かつ「非拘束」的な交渉の結果を望む合衆国の方針に従うかのように思わせたため、途上国を驚かせた。12月12日水曜にインド政府が後援した小イベントで、ある演説者は、次のような提案をした。温室ガス排出削減の取り決めは、その国がOECD、あるいは富裕国に属するか、発展途上国に属するか、「ある大国」から構成される第三カテゴリーに属するかによるというものである。これは明らかに、中国に言及したものである。G77ブロックにおける中国の存在は、多くの国、特にすでに海面上昇による浸水に直面していて、緊急援助を要求している小さな島嶼国を不快にした。なぜなら、それらの国は、自らの利害が北の国と中国との交渉力学に巻き込まれていると見ているからである。富裕国は、最大の温室ガス排出者である合衆国を抜きつつあり、記録的ではあるが、環境的に不安定な経済成長を経験している中国に、強制的な排出削減の体制内に入ってもらいたい、と考えている。同じ要求は、そこまで強くではないものの、インドとブラジルについてもなされている。

大企業が大きな声を上げている
バリは、おそらく、大企業が気候変動に取り組むようになった会議として、記憶されることであろう。多くの小イベントが、排出権取引協定のような、温室ガス問題の市場的解決に焦点をあてていた。そのような提案の下で、温室ガス集約型の国は、市場を媒介者にして、汚染を排出する活動を控える非温室ガス集約型の国にお金を支払うことで、自らの排出を「相殺する」ことができる。シェルとその他の大汚染者たちは、気候変動の主要な解決策としての市場をしつこく宣伝し、各国政府によって設定された強制的な排出削減に反対する合衆国と連携する立場をとった。国連の事務局員は、次の数年間で気候変動とたたかうのに必要な500億ドルのうち84%が、民間部門から支出されなくてはならず、民間企業に誘因を与える必要があるのだと言って、民間企業の存在感の大きさを正当化している。

 気候変動の活動家は、企業が気候変動の言説を乗っ取ってしまっていることに愕然とし、当惑している。あるインドの活動家は、「排出権取引市場を結び付ける」という会合から出てきて、こうつぶやいた。「信じられない。あいつらは、特殊な専門用語を使っている。私はかれらが話していることを一言も理解できなかった」。

 気候の公平性のためのダーバン・ネットワーク(the Durban Network on Climate Justice)のケビン・スミスによれば、「炭素市場(カーボン市場)は、当初、気候問題の全体構造のうち、ほんの小さな部分に過ぎなかった。それは、気候活動家が合衆国を京都議定書の急行列車に乗せるために合意したものだった。合衆国はその列車には乗らなかった。そして、私たちは、いま、炭素市場がさらにそのプロセスを進めているのを前に立ち往生している。企業は、気候変動からお金をもうけることが可能なのを知った」。スミスとその他の人びとは、次のように主張している。解決策としての炭素貿易(カーボン・トレード)は、北の汚染者に汚染を続けることを許す一方で、南の民間会社が、誰にも監視されず、規制されないような、二酸化炭素を吸収する木々の大農園を準備するために、小作農を立ち退かせることを可能にする万能薬である。

世界銀行は、不満を引き起こしている
 世界銀行は、その会議において大きな存在である。 これは多くの関係者の好むところではない。1週間以上も、交渉者は、気候危機の前線にいる諸国に対する支援基金を管理するメカニズムについて議論し続けた。先進国は、世銀がその基金の管理者として行動し、世銀に管理された地球環境ファシリティ(Global Environmental Facility , GEF)がその基金の運営者として働くことを望んだ。これは途上国政府の望むところではなかった。というのは、途上国は、世銀の管理するGEFに関して、嫌な経験をしているからである。交渉関係者が「適応基金理事会Adaptation Fund Board」の設立に同意してようやく、行き詰まりが解消した。その理事会は、主に途上国から構成され、GEFの基金の運営を監視することになっている。

 世銀が1億6千万ドルの森林炭素パートナーシップ基金(Forest Carbon Partnership Facility)に乗り出すことに対しては、さらに大きな反応があった。それは市場メカニズムを使って設計されていて、主催国であるインドネシアを含む大規模な森林を所有する途上国が、それを伐採せずにいることに報酬を支払うというものである。100人もの活動家が、世銀総裁のロバート・ゼーリックの消極的な姿勢に対して、ハイアット・ホテルで1時間の電光石火のデモをおこなった。インドネシア市民社会フォーラム、地球の友インターナショナル、世界熱帯雨林運動(World Rainforest Movement)、Global Forest Coalition、ジュビリー・サウス、気候の公平性ターバン・グループ(the Durban Group on Climate Justice)、フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスのメンバーを含む抗議者たちは、森林をカーボン市場に組み込むことが、それを巨大民間会社の手に渡すことになると、警告を発した。

 抗議者たちが特に懸念しているのは、土着コミュニティの運命であった。かれらが声明で警告しているように、世銀によって提案されたファシリティは、「さらなる強制退去、衝突、暴力を引き起こす可能性がある。森林の価値が上がるにつれて、その中で暮らし、それに生活を依存してきたコミュニティに対して、立ち入り禁止が宣言されるであろう」。

グローバル市民社会は、姿を見せている
  会議場内でのゼーリックに対する大衆行動は、バリが記憶されるべきもう一つの理由を示している。それは、グローバル・ジャスティス運動が、気候変動交渉に入りこんだことを明らかにした。その会合には、オックスファムとthe World Development Movementのような貿易と発展に関する仕事をしている市民社会組織だけでなく、ビア・カンペシーナとジュビリー・サウスのような大衆運動ネットワークも参加した。会議場から1km弱離れた、クールな地球をめざす、ソリダリティ・ビレッジ(連帯村)と呼ばれた開催地は、新植民地主義と帝国主義に反対するインドネシア民衆運動(Gerak Lawan)によって組織され、数多くの地域的・国際的な社会運動とグループと一緒になり、数百もの参加者を引き込む、同時会合の場を提供した。太平洋諸島からの環境難民の代表、森林炭素貿易枠組み(forest carbon trading schemes)によって脅威を受けている先住民、ビア・カンペシーナの農民は、一週間の会合に参加した。

 公正貿易と発展の活動家の登場は、以前は政府交渉者と気候ロビーイストとの、親しいとまでいかなくても、丁重な関係に特徴づけられていた交渉に、様々な対立が生じる世界貿易機関の閣僚会合のような雰囲気を持ち込んだ。「貿易と公正、平等の問題の啓発のような新しい課題を持ち込んだ人びとにプロセスが開かれたことは、伝統的な気候NGOを少し当惑させた」。地球の友オーストラリアのエンマ・ブラインダル(Emma Brindal)は、こう言った。

 「気候の公平性(climate justice)」は、ソリダリティ・ビレッジのグループを結びつけている呼びかけである。その会合の最後に発せられた宣言では、参加者はこう言っている。「気候の公平性を、私たちは、次のように理解している。気候危機に最も影響を及ぼしている国と部門、すなわち富裕国と北の多国籍企業は、あらゆる人びとと将来世代が健康で、公正な世界に生きることができるようにコストを支払い、この星の環境上の限界に配慮しなくてはならない。バリで、私たちは、気候の公平性のためのグローバルな運動を築く、もう一つのステップを踏んだ」

原文はこちら
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