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フィリピン小漁民にとってのJPEPA 

fishery 日本フィリピン経済提携協定(JPEPA)に関しては、フィリピンの社会運動、さらにはそれに呼応した日本の運動の尽力で、廃棄物輸出・労働力移動などの問題点が明らかにされてきました(フィリピンでの抗議行動の現状に関しては、こちらをチェック)。

 そこで今回は、これまであまり注目されてこなかった点に注目したいと思います。それは投資の自由化が漁民に引き起こす影響です。以下は、フィリピンの漁民組織であるKilusang Mangingisdaによる報告書の部分訳です。

 小漁民にとっての最大の敵は、「商業漁業」です。小漁民が恐れているのは、EPAによって商業漁業にフリーハンドが与えられ、かれらの持続可能な漁業が壊されてしまうことです。

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JPEPAの漁業部門に及ぼす影響 (2007年7月27日、Kilusang Mangingisda-Pilipinas)

 日本フィリピン経済提携協定(JPEPA)は、様々な部門に利益を生み出すだけでなく、主として二つの論争的な問題のために、フィリピンの公衆の注意をひいている。一方で、JPEPAの下での「柔軟化」条項を通じて、この国への有害廃棄物の流入が予想されることである。他方で、多くの観察者の主張するのは、その協定がフィリピン人のための新たな投資を少しも生み出さない点である。

 しかしながら、これらの二つの争点を別としても、フィリピンと日本の政府が多くの人びとによって「巨大条約」と呼ばれる条約への調印を急いだ後には、その範囲と内容のみならず、その協定が異なる部門にもたらす影響の大きさからも、もっと明らかにされ、議論されなくてはならない懸案材料がたくさんある。

 この研究は、漁業部門に関する争点を特に扱い、JPEPAのある条項が現在の状況を前提にすれば、その部門にどのように重要な影響を与え、小漁民の環境を劣悪にするのかを明らかにする。

【中略】

乱獲と不公正な漁業提携協定
 
 経済的に発展した国や通商圏が、漁獲をしたい国との間に漁業提携協定を交渉するというのは、よくあることである。これらの取り決めのもとでは、外国船が水域で漁獲する許可を得るために、受け入れ国の政府に定額が支払われている。しかしながら、これらの取り決めは、乱獲を引き起こし、途上国の食糧安保を危険にさらし、地域の漁業の発展を妨げるとして、広く批判を受けてきた。先進国もまた、最低限の支払いで肥沃な水域を利用し、遠くの水域での非合法的な漁獲に対してほとんど注意を払わないとして、批判されてきた(WWFウェブサイトを参照)。
 
 JPEPAでは、日本とフィリピンの間に漁業アクセスに言及する特別な協定はなかった。しかしながら、ある研究によれば(TDC 2007)、「日本の商業漁業は、JPEPAのもとで許可されるかもしれない。なぜなら、投資とサービスがおこなわれる場所である「区域(第二条)」の定義は、その国の水域と排他的経済水域(EEZ)を含むからである」。
 
 もう一つの研究は、3章の28、29条によって、JPEPAが日本の商業漁業者によるフィリピンのEEZへの制約なきアクセスを許可している、と指摘している。サントスは次のように要約する。
 
 私の見積もりでは、日本の商業漁業船による年間の捕獲は、およそ1000~5000万トンとなり、5~25億ドルの価値に達する可能性がある(相当な規模である)。この量は、もし日本が数多くの8000トン規模の加工船でフィリピンのEEZに展開すると考えれば、決して的外れではない。これらの収入すべては、日本人と何人かの軽率な現地住民のポケットに入るであろう。フィリピンの漁業資源と現地のマグロ産業への影響は、さらに悪化するであろう。なぜなら、フィリピンのEEZの漁業資源は、5年の間に完全に枯渇してしまうからである。したがって、日本の水産品の関税率が5年目に撤廃されても、何の意味もないことになる。私は次のように推察する。日本がこれを追及する理由は、フィリピンが日本に近く、他のマグロ漁域(大西洋、インド洋、東・中太平洋)が枯渇している中で、フィリピンのマグロ業を悪化させても自国の水産業の生き残りを保証し、供給制限のために急上昇が見込まれる近い将来のマグロ価格の安定を維持することにある。

 このように、Kilusang Mangingisda-Pilipinasは、JPEPAの実行がこうした商業漁業活動の着手を許すばかりでなく、次の数年間で実質的にこの活動を大幅に増加させるであろう、と確信している。最初に説明したように、フィリピンは1990年以来、(特に地域の)漁獲が急激に減少している。もし現在の状況を改善しなければ、魚種資源は次の数年間で崩壊する運命をたどるであろう。

絶滅危ぐ種の貿易
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)では、クジラやイルカのような絶滅危ぐ種は、貿易できないことになっている。しかしながら、日本は、ノルウェーと中国とともに、商業的漁業に手をつけ、さらに/あるいは「科学的調査」の装いの下に、恒例のイルカ/クジラの確保をおこなっている。
 
 こうした非合法的な活動に関して、日本では二つの実践が今なお活発である。一つは混穫、あるいは商業魚網による海洋生物の意図的でない捕獲と呼ばれるものである。犠牲者は、ウミガメ、鳥、イルカ、稚魚、イカ、その他の動物を含む。さらに悪いことには、それは極端に浪費的である。というのは、意図的でない動物捕獲では、それらはたいてい死んでいるので、投げ捨てられてしまうのである。非合法的な捕獲は、合衆国ではもはやおこなわれていないが、より多く他の国、特に日本でおこなわれている。時にそれはスポーツ目的でなされるが、たいていの場合は、漁民たちが「かれらの」魚をクジラやイルカにとられてしまうという考えから、それらを射殺している。
 
 日本でひそかに進んでいるもう一つの実践は、日本政府によって認められてすらいるといわれている。何千ものイルカと小さいクジラが、毎年殺されているのである。ある者は、いわゆるdrive fisheriesの中で殺され、別な者は、手投げ銛を使って海中で殺されている。大部分は食肉処理されている。「ワン・ボイス(One Voice)」という環境組織は、イルカ肉が時にペットフードや肥料になるという情報を入手している。日本で年間に殺されるクジラの数は、22000匹と推察されている。いくらかのイルカは、日本、香港、台湾、メキシコ、フィリピン、その他の国のイルカ水族館に、生きて売られる。日本の49のイルカ水族館における約500のイルカの大多数が、「イルカ追い込み猟(dolphin drives)」としても知られる追い込み漁業を通して捕獲された。

 フィリピンでは、いくつかの国内法と国際協定で、イルカやクジラのような絶滅危ぐ種の貿易、所有、捕獲が禁止されている。最も重要なのは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)である。その一方で、現地の法律は、フィリピン漁業法、野生生物資源保護法(連邦法9147)、国立統合保護地域制度法を含んでいる。

 この問題についての研究所の一つであるタンブーヨ開発センター(Tambuyog Development Center)によれば、フィリピンがこれらの絶滅危ぐ種を関税撤廃計画の中に含んでいることは、単なる技術的な問題として退けられない。それはこの国もこれらの種を貿易可能と見ていることを暗に示している。日本とフィリピンがともに調印しているCITESと野生動物資源保存&保護法では、禁止されているにもかかわらず、である。

 Kilusang Mangingisda-Pilipinasは、クジラやイルカのような絶滅危ぐ種の捕獲、貿易がJPEPAの下で合法化されるばかりでなく、こうした活動の急速な増加を招く恐れがある、とも主張する。近年では、コミュニティ・レベルでは、環境団体と漁民組織によって、数多くの主導的な活動が推進されている。そこでは、以前の絶滅危ぐ種の「ハンター」を観光ガイド、あるいはパミラカン島でのホエール・ウォッチング(クジラ観察)プロジェクトのような、コミュニティを基盤とする環境保護志向の観光の実行者へと変えようとしている。

【後略】
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