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ドーハは死んでいるのか? 

USAFARM ドーハラウンドの妥結に向けた交渉が、9月3日より始まっています。議長による農業NAMAの叩き台テキストが、すでに7月に提出されており、これをもとにして現状打開をはかろうとしています。

 先週、オーストラリアのシドニーで開かれたAPEC会合でも、ドーハラウンド交渉の強力な推進を支持する共同声明が出されました(目標は年内に最終段階入り→こちらを参照)。ドーハラウンド交渉の再開は、いかなる思惑が動いているのでしょうか。以下の文書は、自国の農業ロビーの補助金要求に応えつつ、他国に対して補助金削減を要求するアメリカの矛盾した姿勢を明らかにしています。

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ドーハは死んでいるのか?(2007年8月24日、アイリーン・クワ)

 2007年7月17日、農業とNAMA(非農産品市場アクセス)のテキストが公表された。途上国のWTO代表は、二つのテキストに対して、かなり異なる反応を示した。

 農業に関して言えば、そのテキストが交渉の基礎になりうるという感触が、途上国代表から生まれていた。もちろん、途上国にとって重要な争点のいくつかについて、不満はあった。たとえば、特別品目(SP)や特別セーフガード措置(SSM)の扱い、先進国にとって重要なその他の争点に比べて、SPやSSMの領域のモダリティが不完全なこと、などがそれである。しかしながら、全体的には、さらなる作業の基礎となるテキストして、受け入れられたといえる。このことは、問題を含んでいる。もし受け入れられれば、メンバー諸国は、途上国から見れば、歪められ、不公正である農業貿易のルールを含む、もう一つのラウンドを支持することになるからである。

 NAMAでは、議長による途上国グループのためのモダリティが、紛糾の主たる原因となった。ニューデリーからの反応は、おそらく、ジュネーブの全般的な雰囲気を指し示している。商工省の副次官であるラウル・キュラー(Rahul Khullar)は、「農業のテキストがそれを足場にする可能性を示したのに対して、非農産品市場アクセスのテキストは、『受け入れがたい』」(「インドは、WTOの農業テキスト草案の下で作業する用意があるが、NAMAに関してはそうではない」『ザ・プレス・トラスト・オブ・インディア』2007年8月2日)と語った。ベネズエラとアルゼンチンも、さらなる交渉の基礎としてNAMAのテキストを受け入れることはできないと述べたが、農業に関してはそのようなコメントをしなかった。

 9月3日には、集中的な交渉が再開されるであろう。合衆国とEU、さらにインドは、サービスについての交渉を徹底的に進めたいと語った。インドは、グリーンルームを同時進行させることを希望すると話した。それによって、メンバー諸国、特に複数国間(プルリ)のリクエスト・オファー交渉にかかわっている諸国は、かれらが自らへのリクエストにどのように対応するかをはっきりと示すことができる(「WTOが夏休みに向かっているので、ドーハの合意の可能性はかすんでいる」『ブリッジーズ』Vol 11 No. 28、2007年8月1日)。

 WTOが7月27日に夏休みを終える時、合衆国議会の下院も、2007年農業法を通過させた。その5年間に及ぶ法案の予算は、2840億米ドルに達した。しかしながら、その法案の正確な供給額は、いまだ交渉中であり、年末を前に上院によって審査されなくてはならないであろう。何人かのWTOメンバー国は、その法案がドーハ交渉の妨げになるであろうと既に話している。オーストラリア政府は、この方法に最も早く反応した国の一つである(リン・J「インタビュー―オーストラリアは、合衆国の農業法がドーハ会合の妨げになると主張する」、ロイター、2007年8月8日)。しかしこうしたことのどれだけが政治的な推進力になり、どれだけが交渉のテコを与えるポーズに過ぎないのだろうか。

ドーハは死んでいるのか?
 何人かのジュネーブの分析家は、二つのありうる理由の一つのために、NAMAのテキストが各国の反応を引き出すようにうまく練られたと推察している。その理由の一つは、合衆国がもはやドーハの取り決めに関心を持っていないというものである。自由貿易への欲求は衰え、NAMAのテキストは、ドーハの失敗の責任を途上国の非協力的な態度のせいにするために設計された。もう一つの理由は、次のようなものである。NAMAのテキストは、農業のそれとは対照的になるよう計算された。そのねらいは、各国の代表が農業テキストだけでなく、NAMAテキストに関しても、後の修正によって数多くの点を途上国の立場に少しでも近づける可能性を残して、それを受け入れてもらうことにある(もしWTO交渉の歴史を見てみれば、このような戦略は、様々な点で機能してきた)。

 ある途上国の以前のWTO交渉担当官は、最近、かなり的を射たコメントを残した。「G4の間の相違は、見た目ほどには大きくなかった。もし数値を見れば、様々な側面から考えてみても、四カ国のさらなる努力によって、協定が取り決められることはありえる」。「私が恐れているのは、現在は合衆国のTPA(貿易促進権限)の不在のために、交渉が凍結していると皆が安心して信じている間に、ブレアハウス式の協定〔ワシントンの迎賓館であるブレアハウスでの首脳会談による意志決定を指していると思われる―訳注〕がG4の間で取り決められ、それが落下傘式にWTOの残りのメンバーにも採用されてしまうことである」。

 7月の終わりに、ブラジルに近い情報筋は、合衆国が自らの交渉パートナーに対して私的に話をした150億米ドル以上の貿易歪曲的補助金(OTDS)が、依然としてブラジル政府には高すぎると話した。ブラジルは、合衆国のOTDSを約140億米ドルにすることをめざしている(これは農業交渉議長のクロフォード・ファルコナーが提唱した、130億から164億米ドルという枠の中に十分おさまっている)。その情報筋によれば、わずか10億円でさえも、ブラジルが生産する商品にとっては、大きな差異になるという。もし140億米ドルという数字が合衆国に受け入れられれば、ブラジルはNAMAにおける24という係数を受け入れると思われる(NAMAの議長は、途上国の係数として19~23の範囲を提唱していた)。

合衆国の政治
 結局のところ、残された重要な問いが、一回りして合衆国のもとに戻ってきている。ワシントンは、どれだけこの交渉に真剣なのか?ドーハ交渉は、2007年農業法と折り合うのか?ワシントンの人びとが、これを評価するのに最もよい位置にいるのであるが、ここでは二つのポイントを心に留めておく価値がある。

(1)第一に、WTOで現在交渉されている国内助成の規律は、極端に弱い。真に合衆国の国内助成を規律するという観点から見れば、効果的ではないので、ワシントンは自らの2007年農業法を実行する裁量を持っている(クワ「2007年7月のWTO農業交渉―多国間交渉化したポツダム?」2007年8月3日、を参照のこと)。その法案の正確な概要は、今だ決定していない。しかし、合衆国の農業長官であるマイク・ジョハンは、かなり高額の直接支払いがその法案で支持されるよう、圧力をかけようとしている。たとえば、WTOでは規律されていない高額の緑の政策支払いがそれである(2007年農業法と牛肉貿易について、テネシー州の農業連盟に向けられた、農業長官マイク・ジョハンの発言記録を見よ、ナシュビル、テネシー州、2007年8月9日)。

(2)第二に、そこで想定されているのは、黄の政策型の支払いである(収入と価格を基礎にして、借入金不足と景気循環に対して支払われる)。商品価格の高騰のために、少なくとも2007年農業法が有効な間に、出資することはありそうもない。ジョハン次官によれば、「皆が想定するところでは、次の農業法が有効な間、借入金不足と景気循環に対する支払いをすることはなさそうに思われる…私の側から見れば、あなた方〔の収入〕は、目標として設定される商品価格を超えるであろう」(ジョハン、前掲)。それゆえに、合衆国がWTOの義務であるOTDSの枠を超える危険性は存在しない。

 問題は、合衆国が黄の政策とWTOにおけるその他の「貿易歪曲的補助金」に対して、永遠に制限をかけることを望むかどうかにある。バイオ燃料の増産と商品価格の高騰に伴って、その補助金が2007年農業法を超える問題にはならないのは、よい機会である。加えて、ジョハンが強く主張するように、補助金の増加も、直接支払い(緑の政策)の形態で提供されるであろう。(現在、交渉のテーブルに何が乗っているかを考えれば、)ドーハに合意することは、合衆国農業プログラムの現実の脅威というよりも、きわめて防衛的な農業ロビー活動家たちと顔をあわせているアメリカの政治家にしてみれば、公的関係上、さらなる災難となりうる。

原文はこちら
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