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バイオ燃料の神話を暴く(後編) 

forests  化石燃料の枯渇と気候変動の二つの問題の解決策として、現在注目を集めているバイオ燃料ですが、その実態はどうなのでしょうか。前編では、バイオ燃料の環境に及ぼす負の影響が、正しく過小に見積もられているうえに、ブラジルなど途上国で新たな土地囲い込みが進んでいることがわかりました。後編では、バイオ燃料が環境破壊と植民地化を引き起こすばかりではなく、大企業によって生産から流通までの経路が支配され、遺伝子組み換え作物がさらに広がると主張しています(ルモンド・ディプロマティーク日本語版の「アグリ燃料にまつわる五つの幻想」も参照してください)。
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バイオ燃料の神話
 
 BNDES(社会経済発展のための国民銀行)の専門家は、このタイプの投資を優先させ、2010年までに100台のサトウキビ圧搾機の建設を見積もっている。2004年には、BNDESはバイオ燃料部門に5億8000万レアルを投資し、2006年にこの数字は22億レアルにまで上昇した。ブラジルは今のところ、一年につき170億リットルのアルコールを生産している。BNDESによれば、国内市場をまかなうには、さらに80億リットルの生産が必要である。それゆえにBNDESは、ブラジルが他国に向けての生産を拡大するに違いないと見ている。世界市場の50%の支配を主張しているので、BNDESはブラジルが年間生産1100億リットルの数字にまで達するであろうと見積もっている。

EMBRAPAは、「ブラジル中西部のセラードだけでも、2000ヘクタールの土地になるので、穀物の栽培が可能である」と言っている。その研究者によれば、北東部では、「キャスターオイルだけでも、300万ヘクタールの耕作可能な土地がある」。加えて、かれらは、「ブラジルのアマゾン地域が、ヤシ油の大農園としては、世界で最大の潜在的な可能性を持っている」と述べている。

しかしながら、この生産は、「森林破壊のディーゼル」として知られている。ヤシ油の大量生産は、すでにコロンビア、エクアドル、インドネシアで、大規模な森林破壊を引き起こしている。世界最大のヤシ油の生産国であるマレーシアでは、87%の森林が破壊された。

環境破壊とバイオマス生産を目的とした農地の使用の他にも、輸送インフラや貯蔵倉庫の建設は、汚染に影響を及ぼしている。こうして増産を保証するために、大量のエネルギー、(肥料と農業有害物の)投下、灌漑が必要とされることになる。

ブラジルは合衆国の外交政策を正当化する任務も全うするであろう。2007年2月のブラジルへの訪問で、合衆の国務副長官のニコラス・バーンズは、「バイオ燃料の調査と開発が、ブラジルと合衆国との間の新しく、より強力なパートナーシップの象徴的な中心となるであろう」と断言した。この二国は、世界のエタノール生産の70%を支配している。バーンズによれば、「エネルギーは、ベネズエラやイランのように、私たちが世界の負のバランスと考える国家の権力を歪める傾向がある」(Folha de São Paulo、2007年2月7日)。

バイオエネルギー生産の拡大は、GMO(遺伝子組み換え生物)を扱っている企業にも多大な利益となる。それらの企業は、GMO製品を「クリーン」なエネルギーの源泉にして、公衆から大いに支持を得ることを希望している。

GMO 「GMOを生産するあらゆる企業、シンジェンタ、モンサント、デュポン、ダウ、バイエル、BASFは、バイオ燃料の生産のための作物、エタノールやバイオディーゼルに投資している。これに加えて、その企業は、シリアルの世界市場を支配している、カーギル、アーチャー、ダニエル・ミッドランド、ブンゲのような超国家企業と協定している。大多数のケースでは、その調査は、新しい種類のとうもろこし、サトウキビ、大豆の遺伝子操作、とりわけそれらの非食用作物への転換に向けられている。その操作はすでに遺伝子組み換えによる悪影響の危険を劇的に増大させている」。メキシコのETCグループの調査員であるシルビア・リベイロは、こう言っている。

フード・ファーストのコーディネーターであるエリック・ホルト-ギーメンズ(Eric Holt-Gimenez)によれば、「三つの大企業(アーチャー・ダニエル・ミッドランド、カーギル、モンサント)は、遺伝子組み換え技術、加工、輸送に至る帝国を築き上げている。そこでは生産をエタノールの販売に結びつける提携が生まれている」。かれは「ブンゲ、シンジェンタ、バイエル、デュポンのような他の農業ビジネス企業は、シェル、トータル、ブリティッシュ・ペトロリアムのような超国家石油企業と提携し、またフォルクスワーゲン、プジョー、シトロエン、ルノー、サーブとも提携して、バイオ燃料に関する巨大な利益という点から見れば、前例のないパートナーシップを組んでいる」。

小農の役割

ブラジル農業開発省のバイオ燃料担当であるエドナ・カルメリオ(Edna Carmélio)は、「エタノールの生産は富を集中させる。他方で、バイオディーゼルは、それが家族農業に限定されないものの、強力な社会的構成要素になる」と述べている。

ブラジル東北部の小農によるキャスターの農園での経験は、価格、加工、流通を支配する大農業企業に依存する危険を示している。「社会的に容認可能な燃料」の認証をばらまくことで農業ビジネスに対して正当性を付与するのに、小農は利用されているのである。

バイオ燃料生産の拡大は、食料主権を危機にさらし、世界の飢餓の問題をひどく悪化させるであろう。たとえばメキシコでは、合衆国のエタノール市場を支えるためにとうもろこしの輸出を増加させたことで、メキシコ人の主要な食料源の生産価格が400%増加した。

このモデルは小農、川岸、その土地を大企業に脅かされているブラジルの地方の農業共同体に負の影響を及ぼしている。シルビア・リベイロは、次の事実に対して警告を発している。「年々の穀物生産を要求しているのは、今では人ではなく、自動車である。車のタンクを満杯にする量の穀物ならば、一年間、人間を十分に食べさせることができるだろう」。

何人かの企業の分析家は、環境問題と食料生産に対するリスクを認めているが、私たちは「より小さな悪」を選ばなくてはならないとする。この場合、かれらは「緑色をした黄金(green gold)」としても知られているバイオエネルギーの生産によって、自らの利益を拡大するために、森林破壊をすることさえも、擁護している。

 現実的に言えば、もし本当に地球の生命を守ろうとしたいのならば、エネルギーモデルの変化によって、現在の消費パターン、開発の概念、私たちの社会組織が根底から変化しなくてはならないだろう。風、太陽、光合成、海、地熱のエネルギーのような代替案を発明する必要がある。しかしながら、新しいエネルギー源を議論する時には、まず、この新たなモデルがだれのサービスに向けられるのかを考えるべきであろう。新たなエネルギーモデルに際しては、それが誰のものであって、誰に利益をもたらし、何のために役立てるのかを考慮しなくてはならない。

農業モデルは、農業エコロジーと生産の多様性に基づかなくてはならない。農業についての小農の経験を救済、拡大して、エコシステムの多様性を出発点にすることは、緊要である。農林、農牧システムの生産には、総合され、時の試練を経た、多様な技術と伝統的な知識がある。天然資源を保存するような消費と生産のために、水を集め、確保し、管理し、使用する、その土地特有の方法や手段もまた存在する。

これらは単純な解決策ではない。個々の「消費者」の態度を変える、たとえば違った車や電球を買うことでは、十分でない。主たる汚染者、地球温暖化の原因は、森林を破壊し、環境を汚している大企業である。バイオ燃料からの利益を期待しているのは、まさにその大企業、石油、自動車、とりわけ農業のそれなのである。

2007年2月、The Statesman、ガーナ
原文はこちら
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